ガラス専攻GLASSMAKING
専攻の特徴 FEATURE
ガラス専攻では、私たちの「日々の暮らし」をより豊かにするために、ガラスで「何ができるのか?」を考えていきます。
ガラスの最大の魅力は、素材の「透明性」や熱による「可塑性」、「光」との関わりにあります。様々な技法を通してガラスの特徴を学び、作業の繰り返しで培われる「技」に裏打ちされたものづくりを行って行きます。
「自身の手で作る喜び」を実現し、それを使う人々にとっても同時に「喜び」であることはとても嬉しいことです。社会の状況や人とのつながりが物を作る上で大切になってきます。
「形の美しさ」とは何か?また「使う楽しみ」や作品から生まれる「くつろぎ」とは何か?これらの条件を考えながらデザインを進め、生活の豊かさを模索していきます。
制作課題を通して、自身の感性が「工芸」、「デザイン」、「アート」のどの領域に近いかを理解することで、自身の作品の方向性が定まり社会と関わるきっかけを掴むことができます。
学生それぞれが私たちの暮らしを、よりポジティブに変えていけるような人材であってほしいと願っています。
カリキュラム CURRICULUM
2学年では、ガラスの基礎となる「ホットワーク」、「キルンワーク」、「コールドワーク」の様々な技法を学び、作品制作に関わる「ガラスの特性」を理解していきます。
3学年では、最初に学生それぞれが持つ自身の「感性」がどんな「傾向」を持つのかを分析し、その特長を生かしながら、自分の「かたち」(作品)にしていく力(表現力)を学んでいきます。活躍されているガラス作家を招待し、特別講義やデモンストレーションなどを行います。
4学年では「工芸」、「デザイン」、「ART」、など様々な領域を学び理解することで、自身の制作に対する方向性を定め、社会との関わりを含めて作品制作を進めていきます。ここでは、デザインや発想の「新規性」や作品の「独自性」、「社会性」を大切に制作していきます。
課題の進め方
3年次クラフトデザイン6「花器の制作」
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1.オリエンテーション
華道家を招き、花と花器の関係性について学びます。次回のデザインチェックにむけて、各自がアイデアの検討を行います。
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2.デザインチェック
各学生が描いてきたアイデアスケッチを元にプレゼンテーションを行います。デザインを絞り込み、実制作に進みます。
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3.実制作
実制作の技術指導を受けながら、作品の完成にむけて制作を進めます。
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4.プレゼンテーション・講評
作品のプレゼンテーションと、講師や教授陣による講評を行います。
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5.華道家による生け花のデモンストレーション
学生が制作した花器に華道家が花を活け、総合的に作品の講評を行います。
その後、学内で数日の間、展示会行います。
2年次2ND YEAR
基礎技法1(バーナーワーク・ホットワーク1)
ホットワークの基礎的な技術の習得とアイデアをデザインに変えて制作する力をつける。バーナーワークでは、トンボ玉やアクセサリー(植物をモチーフ)などを制作する。ホットワークでは、吹きガラスの基礎となる条件(熱、時間、重力、回転)を学び、ペーパーウエイト・グラスなどをデザイン・制作する。
基礎技法2(キルンワーク1)
小型電気炉の制作と焼成研究。ガラス素材を扱う上で必要な知識(熱、重力、比重、膨張係数、粘土原型、型取り、耐火石膏)を学び、ガラスの特性を理解する。学生各自が自由に使用できる小型電気炉を製作する。電気炉の使い方を学び、小さな原型を元にガラス焼成の基礎を学ぶ。
基礎技法3(キルンワーク2・コールドワーク)
キルンワーク、ラミネート、コールドワークの基礎技術を学ぶ。フュージング、スランピング、プレス成型の基礎技法を学ぶ。板ガラスで素材が溶けていく過程を学び、その温度を確認する。「菓子」をテーマに鉢を制作する。
板ガラスを重ねて接着し、加工の技術を学ぶ。カット、サンドブラスト、グラヴィールの基礎技法を特別講義で学ぶ。
3年次3RD YEAR
表現技法研究1(デザインワーク・キルンワーク3)
ものづくりで重要な「観察力」や「発想力」を養うための手法を学び、自身の感性に基づいた興味や「こだわり」を発見して、作品制作の「きっかけ」を作る。各自の感性をや美意識もとに、新たな価値観を見出し「はこ・ふたもの」制作する。「はこ」をテーマにマトリクスⅠ・Ⅱを制作、分析する。「自分」をテーマに自由に表現する。「はこ・ふたもの」を制作する。
表現技術研究2(ホットワーク2)
溶けたガラスの「可塑性」は作業時間と温度変化に大きく影響されている。また、常に重力により作品を引っ張る力が働いているので、吹き竿を中心に常に竿を回転させなければならない。この様な作業に伴う「身体性」を理解し、吹きガラスに必要な技術を習得する。生活の中のガラスをリサーチし、「テーブルウェア」を制作する。図面の書き方を学ぶ。ガラスの特徴を活かしたデザインを提案制作する。
表現技法研究3(キルンワーク4)
花器とは、「花の力」(生命力)を生活の中に取り込むための「道具」である。花器を通して、生活の中の環境、空間、照度のあり方と季節による様々な植物をリサーチし、花器と花との関係性を考察しデザイン制作する。シリコン型や蝋型を学び、より高度なキャスティング技術を学ぶ。各学生の花器における価値観が反映されたデザインを提案制作し、人ともの、そして生活の関係性を探る。古流 華道家 加藤一訓さんによるデモンストレーションを実施する。
表現技法研究4(ホットワーク3)
「ガラスによる空間表現・演出」私たちの暮らしの中の生活空間(部屋・店舗・ホテルのロビー・庭など)を自由に想定し、ガラス素材を使って、空間を総合的に演出し制作する。特定の空間において、演出する目的と、ガラスの必要性を明確にする。制作条件として、吹きガラス以外の技法(キルン、コールドワーク)も可能とする。特別講師として、西山雪さん(エナメル絵付け)を招いてデモンストレーションを実施する。
4年次4TH YEAR
造形研究1
ポートレイト 〜自分の視点と考察〜「工芸」・「デザイン」・「ART」など様々な制作領域をリサーチし、現在の自分がどの領域に近いか、または所属しているかを確認、理解した上で自身の考え方をまとめた「ポートフォリオ」を制作・発表する。講師陣の推薦や自身の興味のある書物を読み、領域に対して理解を深める。工芸工業デザイン学科 他コースの教員に領域に対するアドバイスなどを受ける。
造形研究2
自由制作 〜自分に対して課題を作る〜今まで学んだ制作に対する「知識」・「技術」・「発想の展開」をベースにテーマを決め、自由に制作を進める。自身に与えたテーマをもとに課題の条件を絞り込む。
造形研究3
プレ卒 〜卒業制作に必要な試作・テーマ決め〜卒業制作を視野にいれて、各自が定めたテーマに沿って実験や試作・マケット制作などを行う。卒業制作として使用しても良い。テーマが未定の学生は、試作をしながらテーマを探す期間とする。
卒業制作
今まで学んできた4年間の集大成として、卒業に値する作品を制作する。学生は制作の「テーマ」を明確にし、「独自性」を優先させて制作を進める。
制作者インタビュー INTERVIEWS
ガラス専攻 / 教員紹介 FACULTY
進路&卒業生インタビュー
CAREER & INTERVIEWS WITH GRADUATES
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2017年度卒業
岩本悠里 Iwamoto Yuri
ガラス作家
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2015年度大学院修了
キム・ドンヒ Kim Donghee
ガラス作家
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2008年度卒業
吉田晶乃 Yoshida Akino
ガラス工芸作家
●独立・作家活動
●就職
石塚ガラス株式会社、株式会社猿江ガラス、菅原硝子工芸株式会社、株式会社高島屋、株式会社リデアカンパニー、スーベニール株式会社、株式会社ケイ・ウノ、株式会社杢目金屋、株式会社角川大映スタジオ,
(株)猿江ガラス, (株)テイク・フォト・システムズ, 株式会社イマージ, JONAS GLASS VISION, ファインシステム株式会社, 山川鉄工(株) など
●工房スタッフ・研修生
HALI'S Glass Art Studio、グラススタジオポンテ、ガラス工房fresco、富山ガラス工房、GLASS STUDIO凛、硝子企画舎アソシエイツ など
●進学
武蔵野美術大学 大学院造形研究科、東京藝術大学 大学院美術研究科、富山ガラス造形研究所、多治見陶磁器意匠研究所 など
武蔵野美術大学教務補助員