Department of INDUSTRIAL,INTERIOR and CRAFT design武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科

工デのその後INTERVIEWS & COLUMNS

2008年 ガラス専攻 度卒業

吉田晶乃

Yoshida  Akino

ガラス工芸作家

ー 現在のお仕事内容について教えてください。
作品は主にギャラリーや百貨店での展示会で販売します。 ただ、現在は幼い子を育てているので仕事の割合は減らしています。出産前は作家業と並行して、工房アシスタントや一般の方向けのガラス教室の講師として働きお給料をもらっていました。 私の作品は吹きガラス技法・切削研磨・鋳造・絵付けなど、様々な技法を組み合わせて作られます。その為使う機材も様々なものを使います。自宅に作業場をつくり、ガス炉・電気炉・研磨機など自身の制作に使う機材を備えています。
ー お仕事のこだわりやポリシーなどはありますか。
「実物に触れたときの情報量が多いこと・近接の視線に耐えられる手が行き届いた仕上がり」を心掛けています。ガラス研磨加工の作業は力仕事で時間もかかるので、疲れてくるとついつい、もうここらで完成にしていいかなと思ってしまうのですが、この心掛けを思い出して仕上がりをチェックする基準としています。 写真映りの華やかさがもてはやされる時勢かもしれませんが、あくまで所有する個人の悦びの為に力を傾注したいと思っています。
ー 工デで学んだことは卒業後にどのように活かされていますか。
技術的には、ガラス研究室で広く浅く様々なガラス工芸技法に触れていたことは、卒業後の作品制作での幅を広げたと思います。卒業後は吹きガラス工房で働いたのですが、勤務先では専門外の技法を組み合わせて自身の作品を考え続けられたことは良かったです。そして、デザインをどう組み立てるか根気強く考える、人前でプレゼンテーションする、などの経験は、直接的ではありませんが基礎体力として役に立っているように思います。 また、授業での話ではありませんが、エデは様々な研究室が集まっていますので異なる素材を学んでいる友人ができたことが一番の収穫かもしれません。興味の幅も広がりますし、素材を組み合わせた制作についても気軽に相談できる人がいるというのは心強いものです。
ー 卒業生として、工デの良いところ、改善した方が良いと思うところなどを教えてください。
私の在学時は校舎も現在とは違って2階建ての長屋のような建物がありました。他研究室の中には勝手に入れませんが、この研究室は何やってるのかな?と窓越しに覗ける気楽さは良かったです。研究室にもよると思いますが、ガラス研究室は設備のメンテナンスなどを学生全員で作業することもあり、それも楽しい経験でした。それから、火を扱う研究室合同での毎年の安全祈願から始まる宴会、などの泥臭い風習は学生の頃の楽しい思い出として記憶されています。随分前なので今はあるのかわかりませんけど。
ー これから工デを目指す高校生、在校生にメッセージをいただけますか。
興味を持ったことは素直に貪欲に学ぶと良いと思います。損得関係なく自分の為に全力と時間を使えるっていうのは大学生のうちだけかもしれないです。興味の対象が見つからない時は、図書館やイメージライブラリに膨大に資料があるので片っ端から閲覧するのも楽しいですよ。 それから、大学にはいろんな人がいますので、話をしてみたり遊びに出かけたりすると、自分には無い考えや知らない世界に触れられて良いと思います。一生懸命取り組んだ経験や友人と楽しく過ごした記憶などは、社会にでて辛かったり虚しくなったりした時に心が折れないよう支えになります。良い経験ができるといいですね。