陶磁専攻CERAMICS
専攻の特徴 FEATURE
クラフトデザインコースは、私たちの生活に深く関わりのある5つの素材を中心により良い生活環境を創造するために、ものづくりを実践する学びと試みの場です。高速化した情報や物に溢れ、経済効率を優先した世の中の一方で、素材を生かしたデザインや工芸、自然を敬う日本の美意識は、いま世界中から注目されています。
陶磁専攻では、日常的な視点と手工芸による表現を大切にしながら、テーブルウェアーからアートの分野まで発展性のある研究と作品制作を行います。また、様々な分野のクリエーターによる特別講義や企業とのコラボレーション、国際交流を積極的に行い、ものを作ることを通してその深奥にある食や環境、文化の多様性などの視野を深め、自己の表現や社会とのつながりを大切に授業を進めていきます。
卒業生は、素材の魅力を深めながら、自由な発想を形にする陶芸家、生活用品の企画やスタイリスト、新しいライフスタイルを提案する企業デザイナーなど、インテリア、プロダクトの分野でも活躍しています。
カリキュラム CURRICULUM
2年次は、「食べる」「飲む」「注ぐ」をテーマに陶磁器の初歩的なデザインのアプローチと、ろくろ成形・鋳込み成形などの制作技法を体験し、素材の理解と作り方の基本を学びます。3年次は、陶磁器の原始的な技法である紐作りを用いて形態表現の可能性を学ぶ「造形物」、用途と自己表現の発展を目的とした「うつわと和菓子」、また、空間性の意識や素材表現の探究、薪窯による焼成体験などを通して、陶磁器の表現の可能性と“もの”
と社会との関わりについても考えていきます。4年次は、卒業制作を意識して各自のテーマを考えながら、自由制作を中心に研究を深めていきます。卒業制作では今まで学んだ方法を深化させ、トライ アンド エラーを繰り返しながら、より完成度の高い作品をめざします。
課題の進め方
3年次「クラフトデザインⅥ:テーブルウェア」
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1.和菓子について学ぶ
和菓子の歴史や製法、菓銘や意匠にまつわる物語を知り、和菓子づくりの見学や体験を通して得た学びを基に、うつわを制作します。
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2.実制作
食べ方や盛り方、他の素材との取り合わせ、多角的な視点から柔軟な発想で器を考えます。これまでに習得した成形技法や装飾技法を駆使し、実際に制作します。
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3.中間チェック
実制作やテスト焼成を繰り返し、より密度と完成度を高めていきます。形になったものを前に教員や同級生と意見交換を行い、実感を大切に制作を進めていきます。
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4.プレゼンテーション/講評
デザイン意図や作品の見せ方などを工夫してプレゼンテーションボードを作成します。講評では、他のコースの先生や特別ゲストを招き、色々な角度から意見をもらいます。
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5.撮影
題材としたお菓子を実際に器にのせ、カメラマンによる撮影を行います。プロの仕事を間近で見られる貴重な機会です。
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6.冊子制作/展覧会・イベント企画
リーフレットや冊子・DM・ポスター・動画などをデザイン制作し、さらに展示・イベントの企画から実際に開催するまでを学生主体で行います。2020年のweb展示(https://uzuraaan.wixsite.com/mysite)
2年次2ND YEAR
「食べる」飯碗をつくる
日本人の最も身近な食器である飯碗をろくろ成形で制作します。日本人の食生活や作法を理解し、日常性について考察したり、白米や炊き込みご飯など日常の場面をイメージしてアイデアを具現し制作します。
「飲む」カップとソーサをつくる。
豊かな日常を送ることに目を向け、人が集うこと、場所や時間などを考えながらコーヒーや紅茶の為の器をつくります。ろくろ成形の技術の向上と、カップとソーサの組み合わせやバランスを検討しながら制作します。
「注ぐ」ピッチャーをつくる。
ミルクやドレッシングなどの液体を注ぐ注器をデザインし、鋳込み成形によって制作します。注ぐことや持つことの機能を理解し、機能と形態の関係について考察します。石膏による原型制作や鋳込み成形の方法を体験し、量産のデザインの方法を理解します。
3年次3RD YEAR
用途をもたない陶のかたち
野菜や果物、木の実をモチーフに造形物を制作します。自然物の美しさの発見や、形態の構造を理解して、独自の立体造形を表現します。原初的な方法である手捻りと化粧土による装飾技法を習得します。
注器
お茶を淹れる急須や土瓶、ティーポットをデザインし制作します。お茶の種類や飲み方、文化などを知り、機能的で魅力のあるデザインとは何かを考えます。高度なデザイン性と難易度の高い技術が要求される課題です。
テーブルウェア
和菓子や洋菓子、スイーツやデザートなど、お菓子のうつわをテーマに作品を制作します。食べ方や盛り方、他の素材との取り合わせ、多角的な視点から柔軟な発想で食器を考えます。近年は、老舗和菓子店“とらや”の和菓子を題材にうつわの制作に取り組んでいます。和菓子の歴史や製法、菓銘や意匠にまつわる物語を知り、和菓子づくりの見学や体験を通して得た学びを基に、うつわを制作します。制作後は、題材とした“とらや”の和菓子を実際に器にのせ撮影を行い、またそれを基にリーフレット・DM・ポスター・動画などを制作し、学生主体の展示・イベントの開催までを行います。
花器
水を溜めることさえ出来れば、どんなものでも花を生ける事が出来ます。既成の考えにとらわれず、自由な発想で花器を制作します。手捻りや、ろくろ、板づくり、鋳込み成形など、習得した技法を使って表現を研究し、薪窯による焼成も行います。
4年次4TH YEAR
本(book)から
本を手がかりに、テーブルウェアーや花器、オーナメント、壁面装飾、タイル、オブジェなどの立体造形まで、発想を拡げて制作する自由課題です。
自由制作
任意にテーマを選び、技法や表現の研究を行い制作します。
自由制作
卒業制作を考えてテーマを選び、技法や表現の研究を行い制作します。
陶磁専攻 / 教員紹介 FACULTY
進路&卒業生インタビュー
CAREER & INTERVIEWS WITH GRADUATES
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2007年度卒業
増田光 Hikari Masuda
陶芸家
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2003年度卒業
竹林一茂 Takebayashi Kazushige
SHA inc. 代表取締役 / アートディレクター
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1995年度卒業
萩原千春 Hagihara Chiharu
陶磁器作家
【就職】
作家、ニッコー株式会社、マルミツ陶器合資会社、有限会社 nendo、株式会社オガワスタジオ、株式会社カムロ、starnet、大嶺工房、ギャルリももぐさ、株式会社おぎそ、株式会社あわびウェア、株式会社サンワ、株式会社エイケン、資生堂、株式会社イリア、株式会社木村硝子店、白山陶器株式会社、日本電産シンポ株式会社、陶芸教室各所や陶芸家アシスタントなど多数
【進学】
武蔵野美術大学、Burg Giebichenstein Kunsthochschule Halle(ドイツ)Capellagarden(スウェーデン)、景徳鎮陶瓷学院(中国)、東京芸術大学、千葉大学、多治見市陶磁器意匠研究所、茨城県立笠間陶芸大学校、他 陶芸研修所各所