Department of INDUSTRIAL,INTERIOR and CRAFT design武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科

工デのその後INTERVIEWS & COLUMNS

2007年 陶磁専攻 度卒業

増田光

Hikari Masuda

陶芸家

ー 現在のお仕事内容について教えてください。
愛知県常滑市という焼き物の産地で陶芸をしています。過去にはファッションブランドとコラボレーションしてアクセサリーを作ったりアートフェアに出品したりもしていました。現在は 全国各地で主に陶器を扱うギャラリーでの個展で作品を発表しています。置物が2割、食卓で活躍できるお皿やカップなどの食器類が8割くらいです。私がやっている個展、というのは、自分が作りたいと思った物をたくさん作って、お店にディスプレイして、即売してもらうものです。同じアイテムも一個一個顔や形や重さが違うので、じっくり気に入った物を探してもらえる場になっています。お店の個性に触発されてその時の展覧会のテーマや雰囲気を自分で作っています。
ー お仕事のこだわりやポリシーなどはありますか。
「ちゃんと使える」を大切にしています。変な形の物も多いですが、使えるんですよ。思ったより使いやすかったです!って言ってもらえるのが1番嬉しいです。日々の生活でかいがいしく働く存在になってほしいです。陶器は割れなければ1000年でも残るので、いろんな人のに譲渡されていって私より長生きしたらいいなと思っています。 1個1個手作りしているので、表情などあえて個体差をつけています。選ぶ人によって気にいる顔が違うのです。それが面白いので、大量生産との差別化を日々図っています。
ー 工デで学んだことは卒業後にどのように活かされていますか。
私の在学中、陶磁専攻は1課題1技法習得できるようにカリキュラムが組まれていました。2年半で基本的な陶芸の技術を広く身につけられたと思います。私は自分が作りたいと思った形の作り方を考えるのが得意です。現在の私の作品はロクロや型、手びねりなど様々な技法をアイテムによって使い分けているのですが、この制作に対する柔軟さは授業のスタイルのおかげだと感じます。
ー 卒業生として、工デの良いところ、改善した方が良いと思うところなどを教えてください。
先生方が現役のデザイナーや作家だったことがとても刺激になりました。在学中は自分の将来の想像がつきにくいですが、近くに素敵な大人が沢山いたことが未来への希望になっていました。 私が学生の時は全ての制作が個人で完結していましたが、インテリア・IDとクラフトがペアやグループになって制作できる機会があったらいいなと思います。どちらも卒業後にこんなアイテムを作って欲しいと提案したり、されたりするようになることがあると思うので、別のフィールドで活動する人と一緒に一つのものを作り上げる経験が出来ていたら仕事の幅が広がると思います。
ー これから工デを目指す高校生、在校生にメッセージをいただけますか。
悩むこと、不安になることいっぱいあると思います。そんな時今でも私の頭に浮かぶのが教授の言葉です。「どう?ちゃんとやってる?」と様子を見に来た教授に、あれができない、これがうまくいかない、といつもぶつぶつ答えていました。するといつもこの一言、「まあ、やるしかないね」と去って行くのでした。とどのつまり、これに尽きる、とどんな窮地でも思うのです。休んだり、横道にそれても自分の頭に浮かんだことをとりあえずやっていってみてください。