2020年度卒業
ー 卒業制作の作品紹介をお願いします。
滑らかな曲線を描く面を持つ、自由な形態を求めて、6つの器を制作しました。
器の上と下を2パーツに分け、それぞれの面が作る円の中心を少しずらしました。
今まで存在していた器の固定観念、すなわち「不自由な世界」から逸脱して、器の中心をずらして歪めた造形は、自分にとって、「不自由な世界から脱出した自由な世界」だと思いました。
ー 卒業制作に関することで、印象に強く残っていることはありますか。
印象に強く残っていること、一つ目は、「悔いを残さないテーマを選びたい」と強く思いすぎて、最初の段階で作品の方向性をなかなか決められず、焦点を絞らずにコロコロ制作に関する考えを変え続けた結果、長い期間、本気で卒業制作に取り掛かることができなかったことです。なかなか自分の作品が進展できず焦っているところ、ある日友達のために鋳込みでお皿を作りました。器を石膏型から取り出す時、器の形が歪んでしまい、その失敗とも言える出来事から、再び磁土そのものの特性を感じることができました。そしてその変形したお皿が卒業制作のヒントになりました。
作品を作る中で、教授さんや助手さんたちと何回も相談をしましたが、最も印象的なのは、「何のために作るか、何の目的?何の用途?」という質問をされ、そして答えることで、作品の方向性がより明確になっていったことです。
印象に残ったことの二つ目は、先輩とクラスメイトに手助けしてもらったことです。石膏ロクロは卒業制作が始まるまで未経験でしたが、先輩たちが丁寧に教えてくれて心強かったです。泥漿を流す時は、重くて一人で持ち上げられないため、クラスメイトのみんなが一緒に持ち上げてくれました。最後の展覧会のために、2メートルを超える展示台を作る時にもクラスメイトが力を貸してくれました。いろいろ数えきれないことに感動しました。 先生たちの適切な指導と先輩とクラスメイトのおかげで卒業制作を完成することができました。
ー 卒業制作に取り組む上でのポイントや、意識など後輩にむけてメッセージをいただけますか。
1.試すこと。手を動かして、素材を触って感じることが大事です。考えばかりだと何も出てこない、試せるものを全部試しましょう。
2.失敗経験をまとめること。制作のプロセスは非常に重要だと思います。最初は上手くいかないことをそのまま流さないで反省し次に活かします。
3.余裕を持つこと。制作時間がかなり短いので、テーマを決めたら、スケージュルを作って、時間通りに進んでいきましょう。
ー どうもありがとうございました。
2020年度卒業
蔡雅雯