2017年度卒業
ー 卒業制作の作品紹介をお願いします。
土鍋といえば、冬に寄せ鍋で使うもので、年に数回の出番しかない。
そんなイメージが私にもあったのですが、土鍋は、寄せ鍋は勿論、お米を炊いたり、煮込み料理など、様々な料理に対してもじっくり火が通り、とても美味しく作れる道具なのだということを知り、暮らしに寄り添う土鍋を私なりに考えました。
調理をしてそのまま食卓に置き、うつわとして使っても取手の部分がリム皿の様で、料理が映え、同時に保温性も高い、便利な土鍋。
毎日使っても飽きず、使いたくなるような土鍋を目指して制作しました。
ー 卒業制作に関することで、印象に強く残っていることはありますか。
卒業制作前の課題、自由制作の時に初めて作った土鍋で、陶磁研究室の同期の皆で鍋を囲んだのですが、自分の作った土鍋で出来た料理を皆で食べるという体験がとっても嬉しく、印象に残っています。
その時の嬉しさが糧になり、卒業制作では技術的なクオリティを高めたかったので、ひたすら土鍋を作り、最終的には27個の土鍋を作ることが出来たのだと思います。
苦労話は、全て電動ろくろで制作したのですが、土鍋をずっと挽いていると、土鍋の土は荒いので、指の皮が削れて無くなっていくんです。
そのまま挽くと痛くてろくろがやりにくいので、ゴム手袋をしたり、手芸用の指サックをしたり、やりやすい物を探すのに苦労しました(笑)
ー 卒業制作に取り組む上でのポイントや、意識など後輩にむけてメッセージをいただけますか。
1度しかない、大学4年間の集大成ともいえる卒業制作。何をつくるか、本当にこれでいいのか、テーマを決めた後も、常にとても不安で、悩む事も多いと思います。
ただ、制作できる時間が限られているので、悩んで手が止まるよりは、今までやってきた中で気持ちがよかった技法、嬉しかった事、純粋に好きな事、とりあえず色々書き出したりして、あとはサクッと直感で選んでしまうのも良いのではないかと思います。
そして選んだ後は、迷わず、決めたことをやりきる、という気持ちでしっかり取り組んでいけば、きっと作品のクオリティや説得力は上がっていきます。
無いに越した事は無いですが、初めての卒業制作で、後悔が1つも無い事の方が難しいと思うので、後悔は終わった後に、ゆっくり沢山すればいいのではないかと思います。
ー どうもありがとうございました。
2017年度卒業
寺崎彩子