2017年度卒業
ー 卒業制作の作品紹介をお願いします。
私は卒業制作として、ころっとした形のティーポットとティーボウルのセット、colot(コロット)を制作しました。授業を受けるまではずっと、紅茶を飲むことや染付けの器を使うことに対して敷居の高さを感じていました。colotは、自分と同じような気持ちを抱いている方へ向けたティーセットです。
鋳込み成形による有機的な柔らかい形と、和紙染め(和紙を通して呉須を染み込ませる技法)と筆を用いた染付けで、見て触って楽しい、親しみやすいティーポットを目指しました。
ー 卒業制作に関することで、印象に強く残っていることはありますか。
卒業制作のテーマを決める上で、自分が美大に入学するきっかけが、王道ですが絵を描くことが好きだったこと、また、陶磁専攻に入って一番最初に学んだ技法、呉須での染付けが自分の感覚に合っていたこともあり、卒制に取り掛かる前から初心に戻って絵を描いて卒業しようといった想いがありました。
当時は食器メーカーへの就職を考えていたこともあり、一度勉強した大量生産の器作りに用いられる鋳込み成形にもう一度トライしてみようと決定しました。
植物やオリジナルのいきものをモチーフに、和紙染めの淡い雰囲気や呉須の濃淡を生かした絵付けをしましたが、和紙染め技法の資料が少なく、使用する材料探しが特に苦戦した思い出です。
途中どう制作を進めたらいいのかわからず、負のスパイラルに陥ってしまい何も手が動かなくなってしまった期間があり、人から意見を聞くのも怖くて、色んなことから逃げていた時に友人がある講師の方からお話を聞くことを促してくれました。その時に、あなたはあなたのスタイルを貫いたら大丈夫、とかけていただいた言葉で心が軽くなり、何とか制作をやりきることができたことが印象に残っています。
ー 卒業制作に取り組む上でのポイントや、意識など後輩にむけてメッセージをいただけますか。
陶芸に限らずですが、初めて素材に触れた時の感動や純粋な感覚を忘れずにいることはとても大切だと思いました。
卒業制作と言うと4年間の集大成というとても重い時間に感じますが、過ぎて見るとほんの一瞬の期間です。色々なことに挑戦することは一つも無駄なことはないので、沢山チャレンジすべきとは思いますが、あまり気負いせず、最終的には自分のやりたいことをやりきることが今後の活動にいい影響を与えてくれると思っています。
行き詰まってしまったら、何も考えず自然の中でぼーっとしたり、多摩湖を眺めに行くのが個人的にはおすすめです。
ー どうもありがとうございました。
2017年度卒業
駒木あおい