2020年度卒業
ー 卒業制作の作品紹介をお願いします。
現在SNSなどで行われている日常の出来事を共有し、それに伴う驚きなどの「体験・感動のおすそ分け」の仕組みを捉え直し、誰もが自分の人生に価値を感じ、魅力を認め合える未来象を目指しました。
全ての人の「暮らす環境、人間性、歴史の中のその瞬間」によって生まれる「唯一無二の体験」を価値のあるコンテンツとして捉え、世界中の地域で様々なアクティビティに興じている人が「自身のいる環境・自分自身の感情を反映したアバター」をリアルタイムで離れた地にいる人と共有。現実では同伴できないような瞬間を全く新しいデジタルアクティビティとして現地の人と並んで体験する仕組みを提案しました。
ー 卒業制作に関することで、印象に強く残っていることはありますか。
僕は卒業制作の面白さは学生が自由に決めたテーマに取り組むことだと思います。
テーマから進め方、リサーチや使う道具などの手法までが学生に委ねられていることで、各々のやり方でテーマに挑んで研究を深めていくことができ、学生のクリエイターとしての特色が際立っていきました。
卒業制作期間の中で、定期的な発表の場や、教室などの作業スペースでそれらを共有できる場があった事で、各々の特色ある知識や考え方を活かしたディスカッションができ、「自分ならではの良さ」「クラスメイトならではの良さ」 を自覚することができました、その「良さ」は今でも具体的な「自信と目標」となり、自分の中に残っています。
また、もう一つは教授との学び合いの関係にあります。
学部での3年間での基礎を「教えてもらう」関係は終わり、学生が自身の視点と考え方でものづくりができるようになっています。その時期にある卒業制作では教授との関係性も変わり、自分なりに取り組んだものづくりの工程を教授の視点でみてもらい「話し合う」関係になっていました。
その中で、自分と教授の考え方がぶつかったり、知識を共有したり、教授と自分という別々のクリエイターの視点での言葉を交わすことが卒業制作ならではの気づきをいくつも生みました。
卒業制作での「研究」と「交流」が多くの学びをくれた気がします。
ー 卒業制作に取り組む上でのポイントや、意識など後輩にむけてメッセージをいただけますか。
今思うと「卒業制作」という学生生活の最後に与えられた時間は、人生においてとても貴重な「充実した環境での 自由なものづくりの時間」でした。
これは作家やデザイナー以外になる学生にも通ずることだと思いますが、社会に出ると、自分の好奇心や探究心にひたすら向き合ったものづくりが出来る機会はぐんと少なくなります。
20年以上生きて、3年間、様々なかたちでものづくりと向き合ってきて産まれた“こころ”を大切にして 今しかできないことがあることを少しだけ意識して学生生活の締めくくりとなるものづくりの日々を送ってください。
ー どうもありがとうございました。
2020年度卒業
西村俊亮