2021年度
ー 卒業制作の作品紹介をお願いします。
私は、部屋の壁に絵画を飾るように、タイルを張ることで壁面を装飾したいと考え、壁面タイルを制作しました。タイルは、住宅や街中の壁や床を覆うことで雨風を凌いだり、保護をする役割があります。この卒業制作では、保護するものではなく、タイル自体を装飾品と扱うことで、ラグジュアリーな空間を作りたいと考えました。暗闇の中で土蛍が煌めく洞窟をイメージし、土蛍が放つ蒼い光をトルコブルーの釉薬で表現しました。また、タイルの形を菱形にすることで、光が眩しく煌めくさまを表現しています。
ー 卒業制作に関することで、印象に強く残っていることはありますか。
1つ目は、卒業制作の中で、本当にたくさんの人に助けられたということです。不安や悩みを聞いてもらったり、窯やタイルの施工を手伝ってもらったりなど、たくさんの人に助けてもらえたから、卒業制作を無事終えることができたと思います。壁一面の大きな作品だったため、自分1人では出来ないことがたくさんあり、展示するための施工も、展示後の解体もみんなが協力してくれました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
2つ目は、制作面で、タイルを1枚作って焼いただけでは、完成しないということです。数百枚のタイルを組み合わせ、壁面に施工をして、はじめて全体が見えてきます。壁面にタイルを施工した完成像を想定し、逆算しながら制作することが、とても難しく苦労しました。パターンの繋がり、組み合わせや配置、大きさ、設定空間、遠目の印象など、普段よりも詰めて考えなければならないことが多く、大きな空間を作るということの難しさを痛感しました。私は、卒制を作り終えてわかったことや講評で気付かされたことがたくさんあり、それまでが卒業制作だと感じました。これからの仕事でも、卒制で学んだことを糧にして、頑張りたいです。施工時、接着後にタイルが剥がれることがないよう、数百枚のタイルを何度も手で叩き付けて圧着していました。人生でこんなに叩くことは、後にも先にも無いと思います(笑)
ー 卒業制作に取り組む上でのポイントや、意識など後輩にむけてメッセージをいただけますか。
まずは、やりきること。長い卒制期間の中で、ふとした時に、このまま進めることに不安を感じたり、自信をなくしたりすることがあるかもしれません。そのような時は、まずやり切ることが大事だと思います。これは、卒制時の自分にも言いたいです。また、自分は何がしたいのか、何を伝えたいのかなど、ゴールをしっかりと定めると、制作しやすいかと思います。終着点を見逃さないことが重要だと思いました。卒制期間は、長いようで、とても短いです。人と話したり好きなものを食べたり、リフレッシュしながら、卒業制作を楽しんでください。
ー どうもありがとうございました。
2021年度
島 由佳子