2017年度卒
ー 卒業制作の作品紹介をお願いします。
美しさとは何かを問いかける作品です。美しいものを作るために、美しい命を頂きながら制作しました。制作期間中、毎日花を摘み取っては、ハンマーで叩いて布に色素を写しました。同じ行為の繰り返しでも、見えてくる景色はすこしずつ違う。それが積み重なって1つの流れが出来上がる。ある種、人の生を彷彿とさせます。美しく生きるためには犠牲が伴うのかもしれません。それでも辞めることはない。これからも美しいを創りたいという思いを乗せています。
ー 卒業制作に関することで、印象に強く残っていることはありますか。
制作に使用したお花のお世話が大変であり、毎日の楽しみでもありました。ビオラやマリーゴールドを、最終的には200株ほど育てながら制作していたと記憶していますが、咲いたそばから摘んで布に叩き写すという、今振り返ると不思議な日々です。秋冬にまたぐ制作で、お店で取り扱っている花の品種が変わってしまったり、咲かない時期があったりと、自然相手に思うようにいかないことも多々ありましたが、布の上に写る美しさを毎日のようにまのあたりにすることは、それだけで充実感がありました。また、研究室には終始お世話になりました。いつ何時でも頼ってみてください。
ー 卒業制作に取り組む上でのポイントや、意識など後輩にむけてメッセージをいただけますか。
個人的なことですが、什器の準備を始めるタイミングが遅くて大変苦労しました。それまで作品は吊って展示することが多かったので、いきなり巨大な什器作りに勝手も分からず、時間も労力もお金もかかりました。早めの段階で取り組むべきだったと反省しました。また、制作時間をいかに確保するかは、大事なことの1つなので、もしアルバイトなどされる場合は、可能な限り工房が開いていない早朝や夜の時間に入れるのも1つの手だと思います。制作の様子が分かる自分が写っている写真は、その後使う機会も多かったので、しっかり残しておいた方が良いです。友達が撮影してくれていて助かりました。
ー どうもありがとうございました。
2017年度卒
向井 詩織