2021年度卒
ー 卒業制作の作品紹介をお願いします。
鉛筆削りで鉛筆を削るように生み出されるランプシェードです。小さな頃から、鉛筆を削る際に生まれる削りかすの造形や儚さに魅力を感じていました。”削りかす”として捨てられるほかなかったそれらを大きく、厚みをもたせることで、造形の美しさはそのまま新しいプロダクトを作ることができないかと思い制作しました。
樹種、色、削り出す材の形がディテールに影響し、削る時々によって、唯一無二の表情を生み出します。また、鉛筆の削りかす同様に一本の材から何度も削り出すことができます。
ー 卒業制作に関することで、印象に強く残っていることはありますか。
“通常の削りかすの数倍大きなものを作りたい”、と思いつきのように始めた制作は想像以上に難しく、最終目標が明快だったが故に苦悩しました。削り器の形状、木材の樹種、削りかすの厚み、さまざまなことを研究、試行錯誤しました。木を蒸すことでやわらかくし、市販の刃を研ぎ角度を変えることで、薄くも強度のある厚みを削り出すことを可能にしました。特に、刃の位置は0.数ミリ単位での調整を何度も繰り返しました。
そして、研究室の先生方をはじめ他専攻の先生方、学外の専門の方、多くの方に助言をいただき実現することができました。
制作をする上で、不可能なことや時には諦めなければいけないこともあります。しかし、熱をもって根気よく取り組むことで生み出されるものが必ずあると感じました。制作を通し、技術や知識はもちろん制作する姿勢や考え方、体感しながら多くのことを得ることができました。また、思うように進まないことばかりの中でも少しずつ理想の形に近づくたびに、制作することの楽しさを改めて実感することができました。
インテリアデザイン専攻で制作をした時間はかけがえないのないものです。
ー 卒業制作に取り組む上でのポイントや、意識など後輩にむけてメッセージをいただけますか。
先生方や設備、これほどまでに恵まれた環境で自分が作りたいものを作ることは、これからの人生であるかどうかわかりません。今までで一番いいものを作ろうと思うのではなく、今までで一番挑戦したと言えるものをぜひ作ってほしいです。ひとつの制作に集中できること、挑戦できること、たくさんのアドバイスを貰えること、全てが学生の特権でありとても貴重な時間だと思います。体を第一に、最後まで頑張ってください。
ー どうもありがとうございました。
2021年度卒
久米 菜々子