2020年度卒業
ー 卒業制作の作品紹介をお願いします。
型吹きの技法を用いることで手仕事による量産が生み出すガラス工芸の魅力、”工芸とプロダクトの間”を探ろうと試みた作品です。「BUDDY」というタイトルは、さまざまな色や模様のものが並ぶ中でどの色が好きか、どこに飾ろうか など、この作品を通して自身の生活を想像しながら自分にとってのbuddy = 相棒 を選んでほしい、また選ぶことで生まれる付加価値により長く大切にされるものになってほしいという思いから名付けました。
ー 卒業制作に関することで、印象に強く残っていることはありますか。
制作で悩んだのは卒制に取り掛かる前、4年次の課題でアイデアが行き詰まり、自分が何を作りたいのか分からなくなった時期がありました。その気持ちをリセットするために、とにかく過程から最終的な完成まで楽しく制作したいと思い、私が愛してやまない犬をモチーフに選んだことがこの作品のきっかけです。思惑通り、型の中から姿を現す瞬間や出来上がったものを台車に乗せて運ぶときの愛くるしさに何度も救われました。失敗作を捨てるときは心が痛みましたが、知らない間にゴミ捨て場から持ち帰って家に飾っている人がいると知ったときは驚きました。
また、自身の生活を想像しながら自分にとっての相棒を選んでほしいというコンセプトに合わせて、30名ほどの方にご協力いただき実際に部屋に飾った写真を撮っていただきました。本来、商品として人の手に渡ったものがその後どのように飾られているのか目にする機会は少ないと思うので、作品を通して誰かの生活を覗き見するという貴重な経験ができました。
ー 卒業制作に取り組む上でのポイントや、意識など後輩にむけてメッセージをいただけますか。
テーマ決めはどんなきっかけであれ、自分が魅力を感じるものを素直に表現するのが良いと思います。ただ、卒制というのはやはり4年間の集大成なので単純に「犬、カワイイ!」だけでなくしっかりとコンセプトを考え、作品を通して社会とどう関わるか、何を伝えたいのか、自分なりの答えを出すために時間をかけることが大切だと思います。最後まで自身のこだわりを貫くことで見えてくるものや想像以上の収穫があると思うので、友達や仲間と励まし合いながらがむしゃらにやりきってください。応援しています!
ー どうもありがとうございました。
2020年度卒業
笹本菜月