2019年度卒業
ー 卒業制作の作品紹介をお願いします。
私にとって 花を贈ることは特別なことでした。
用途のあるわけではない花は、気持ちそのもののような気がして。
これまで照れくさくて渡せなかった花たちをガラスを用いて私ができることで「贈り物」の形にした作品です。
花びらの形にカットしたガラスを、小さな石膏型の中で焼成し一輪一輪花のパーツを制作しています。
その後さらにカットを施し、薄さを出したり柔らかな筋を彫刻したりして、繊細な植物の表情を表現しています。
ー 卒業制作に関することで、印象に強く残っていることはありますか。
最終的には髪飾りなどのアクセサリーに仕上がっていますが、具体的に何を作るかはずっと決まらずにギリギリ進行だったことです。当時を思い出すと今でも冷や汗が出るような気持ちになります。
「贈り物としての花」をテーマにすることと、「小さなガラスの花を組み上げた作品にしたい」ということだけがずっと頭の中にあったので、黙々と花パーツを作り続けるという日々を年末まで過ごしていました。もっと言うと、削って表情をつけるというのも11月下旬くらいまでたどり着けていませんでした。締め切りは年明け1月すぐだったので、お正月も素材を持ち帰って作業しました。
そんな中でも、焦りを感じていても制作が完全に止まったと思うことはなかったです。全力で制作している仲間と毎日朝から晩まで一緒にいたし、何か閃いたりやってみたいと思うことがあれば彼女らも教授たちもすぐに協力してくれて、今思うと改めて恵まれた環境で制作に没頭させてもらっていたんだなとありがたく思うし、忘れられない時間です。
ー 卒業制作に取り組む上でのポイントや、意識など後輩にむけてメッセージをいただけますか。
真剣に、全力で取り組むのであれば、どんなことでも挑戦してみてほしいです。
じっくり集中して、整った環境で制作ができることはこの先多くはないと思うので、出し惜しまず夢中でやってみてください。
それと、同じように密な制作をするたくさんの人の中で、というのはさらに貴重でした。制作は大変ですが、仲間も大切にしてほしいなと思います。
ー どうもありがとうございました。
2019年度卒業
関口朋夏