2014年度卒業
ー 卒業制作の作品紹介をお願いします。
風で動く飛行物体のようなイメージを、彫刻的なアプローチにより制作した作品です。当時ミッドセンチュリーの華やかな家具に影響されていた自分には、実用性というよりは空間の印象を決定づけるような作品を、作りたかったのだと思います。また作品名である「Airco」は、かつてのイギリスの航空機メーカーの名前からとったもので、軽やかな音の響きが、気に入って付けたのを覚えています。
ー 卒業制作に関することで、印象に強く残っていることはありますか。
ある先生が「自分が学生だった時の卒制は、何十年経っても未だに見返すことがあり大事な作品だ。」と仰っていたのをよく覚えています。その言葉を聞いて、結果はどうであれ悔いのない作品を作りたいと、強く思いました。
また実制作に入った11,12月の寒い時期に、外に作業机を出して、寒さに震えながら本体部分を削っていたこともよく覚えています。寒さも相まってか、感覚が研ぎ澄まされていき、図面では描ききれない三次曲面を、自分の手で探りながら形作っていく経験は、今でも活きていると思います。
ー 卒業制作に取り組む上でのポイントや、意識など後輩にむけてメッセージをいただけますか。
「手を動かし、考え続けること」が、なにより大事だと思います。ただやみくもに手を動かしていても、自分が何を作りたいか一向に見えてきませんし、頭の中だけでずっと考えていても、良いアイデアは生まれないと思います。“手を動かすこと” と “考えること”、この2つのバランスを上手くとり続けることで、はじめて良い作品ができるのだと思います。いろんな意見に惑わされたり、失敗を恐れてしまうこともあると思いますが、学生のうちしか出来ないことだと、時には開き直って、自分の信じる作品を作ってください。みなさんの作品を楽しみにしています。
ー どうもありがとうございました。
2014年度卒業
村尾信太郎