2015年度卒業
ー 卒業制作の作品紹介をお願いします。
自宅での簡単なデスクワークのシーンに向けたフラットパックに対応した椅子とテーブルのファミリーをつくろうということが発端でした。
この椅子は座面は脚に噛み付いている形状が特徴です。
座面と脚の接合部分を一点に集中させた、キャンティレバー構造により柔らかな座り心地を生み出し、座面を金属パイプで挟み込むことで強度を出しています。ファミリープロダクトとして同一の造形言語を用いてデスクもデザインしました。
ー 卒業制作に関することで、印象に強く残っていることはありますか。
苦労した点は構造、椅子としての強度の出し方です。1/6の模型をたくさんつくって、チェックの度に新しい模型を見てもらいました。
構造が決まってからも実際の材料でスタディしてみないとわからないのでFRPの座面と金属パイプを溶接した脚をいくつかつくって実際に座ってみて強度が出せるかを試しました。
もう一つ覚えているのが、ある程度デザインも決まり、構造のテストもして臨んだ中間講評で講師の方から見た目が似ている椅子があると教えていただき、デザインが振り出しに戻ったときは少し焦りました。
そこから大急ぎで新しい構造を考え、デザインをし直しましたが結果的にその方が理にかなった構造になりました。
気に入っている点は見たことが無い構造の椅子をつくれたことです。椅子は歴史が長いので無いものは無いなりの理由があります。そこで椅子としての機能を担保しつつ新しい椅子を作ることに挑戦したかったので、その点を達成できたことには満足しています。僕はFRPを綺麗に仕上げたかったので外注を検討して相当な数の業者さんに見積もりをとりました。最終的にムサビOBの方がやっている会社と出会い、そこの方が作り方の指導と工房も貸してくださるということで、3か月くらいその会社に通って自分で製作しました。
ー 卒業制作に取り組む上でのポイントや、意識など後輩にむけてメッセージをいただけますか。
普段からそういうタイプではないですが、卒制に限っては夏休みの最後1週間くらいで自分がやりたいことを書き出して大きな方向性を決めていて、そこからあまりぶれずに進められたので比較的順調に進められました。それでも、余裕があったわけではなかったので迷うなら早いタイミングで迷うことをお勧めします。もし何等かの理由で進めてきたアイディアを止めざるを得ないときのためにも他にやりたいことを決めておくというのも一つの手かもしれません。
ー どうもありがとうございました。
2015年度卒業
池田美祐