Department of INDUSTRIAL,INTERIOR and CRAFT design武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科

工デのその後INTERVIEWS & COLUMNS

2010年 インダストリアルデザイン 度卒業

河俊光

Kawa Toshihiko

株式会社リコー プロダクトデザイナー

ー 現在のお仕事内容について教えてください。
世界初の民生用360度カメラである「RICOH THETA」シリーズのトータルデザイン開発を行っています。プロダクトデザインがメインですが、UIデザインや360度映像を活用したソリューションのデザインなども並行して行っています。 また、リコーデザインと東京都大田区の町工場8社によるものづくりプロジェクト「GOOD ENOUGH.」を企画し、2019年に展示会を開催して計24点の作品を発表しました。そこから派生した自身のブランド「goodware.」を立ち上げ、展示会で生まれた作品を商品化しています。是非チェックしてみてください。
ー お仕事のこだわりやポリシーなどはありますか。
何世代も続く製品をデザインする上で大切にしているのは、核となるデザイン要素を継承してブランドを育てていくことです。例えばRICOH THETAの場合は、初代で生まれた「縦長フォルム+長円形状」というアイコニックなデザイン要素を現行機種に至るまで大切に継承することで、少しずつ皆さんに認知してもらえるよう努めています。
ー 工デで学んだことは卒業後にどのように活かされていますか。
手を動かして考えることを重んじている学科で学んだので、社会に出てからも作り手に対するリスペクトを常に持ちながら活動しています。 自身のブランド「goodware.」を立ち上げた理由も、メーカーでの製品開発より更に現場の近くでデザイン活動を行ってみたかったからです。町工場の職人さんと一緒にアイディアの量産化に向けた検討を重ねるプロセスは、常に学びがあり刺激的です。
ー 卒業生として、工デの良いところ、改善した方が良いと思うところなどを教えてください。
そのまんまですが、工芸と工業デザインの両方が同じ箱に入っているのが他大学には無い魅力だと思います。私の場合は、陶芸専攻の友人から民藝について教えてもらったり、カーデザイナー志望の友人の影響で車を好きになったりと、工芸と工業の両側面から色々吸収でき、ものづくりに対する解像度が高くなったと思います。 今はどうなっているかわかりませんが、私が在学していた頃は上下の学年の関係が薄かったので、先輩からもっと学べる機会があると良かったと思います。
ー これから工デを目指す高校生、在校生にメッセージをいただけますか。
社会に出ると様々なバックグラウンドを持っているデザイナーがいます。自分が今いる環境がすべてではないので、視野を広げる意味でも積極的に外部からの情報を収集することが大事だと思います。学生時代は目先のことに集中してしまって視野が狭くなりがちですが、休日は街に出てたくさんインプットすると、きっとものづくりの礎になると思います。