Department of INDUSTRIAL,INTERIOR and CRAFT design武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科

工デのその後INTERVIEWS & COLUMNS

2015年 木工専攻 度卒業

関口雄二

Sekiguchi Yuji

株式会社ジャクエツ

ー 現在のお仕事内容について教えてください。
会社としましては、子どもに関わること全般に携わっている企業になります。幼稚園保育園で使用するはさみや紙などの教材から、大きなものは園舎の設計まで弊社で行っております。その中で、私が所属している部署は主に幼稚園保育園などに設置する遊具や家具などの企画設計を行っています。規格品としての商品開発と、お客様から要望いただき特注品として設計する場合があり、どちらも行っております。私が携わった新商品では、低年齢児(1~2才の子ども)向けの遊具に携わらせていただきました。遊具には事故やけがを防ぐための安全規準というものがあり、制約がある中でどうやってモノをつくっていくかがなかなか難しいところです。また特注品では、幼稚園に設置するものから商業施設・一般施設に設置する遊具のご提案と設計を行っております。
ー お仕事のこだわりやポリシーなどはありますか。
“こういったほうがよりよくなるのでは”といった、プラスの提案をすることを心がけています。お客様のご要望に沿った提案をするのはもちろんですが、お客様のご要望通りのものだけではなく、お客様自身が気づいてない“こうしたい”という想いを実現できるように考えて業務を行っております。また一方で、施工する際のことや製作いただく協力業者様のつくりやすさということも常に意識しております。お客様のご要望を実現することは大事なことです。ですが、その結果つくりにくいものであったり、納品が難しいものであってしまうと、コストが膨れ上がってしまったり、施工ミスを生むことになります。ですので、どうやってつくられるか、どうやったらつくれるかということを頭の片隅に常に置くように心がけています。
ー 工デで学んだことは卒業後にどのように活かされていますか。
提案する側とつくり手側と両方の視点を持つことができたことです。大学の制作の中では、作品を通して自分自身が表現・問題提起したいことを考える部分も大事な要素でした。さらに木工専攻では、コンセプト提案だけでなく制作物もつくらなければならなかったため、自分がどうやってつくるのかを考えなければなりませんでした。木材の取り方、加工の仕方、作業量などを自分で判断していかなければ、講評に間に合わなくなってしまいます。大学当時のそういった経験が、いまの業務に繋がっています。
ー 卒業生として、工デの良いところ、改善した方が良いと思うところなどを教えてください。
工デの良いところは、講評の際に自身の専攻以外の他専攻の教授の講評を受けることができることだと思います。自身の専攻以外の教授は、制作過程を見ていないため、作品に対しての率直なご意見を頂戴することができます。「ここの形がぬるい」「こういうほうがよかったのではないか」と客観的なご意見を私自身も講評でいただきました。また、他専攻の友人にも相談しやすく、外部からの刺激をもらいやすい環境というのが工デの良いところでないかと思います。
ー これから工デを目指す高校生、在校生にメッセージをいただけますか。
高校生のみなさんは、予備校での授業は大変だと思います。毎日デッサンや平面構成、立体造形と学ぶことも多く、講評で厳しく言われることもあるかと思います。また、いま現在ムサビ生である方々も、毎日制作で疲れ、アイデア出しに悩み、その上アルバイトもして制作費を稼いだり。そんな大変な毎日だと思いますが、学生生活は一回きりです。悩みながら制作をするも良し、気分転換に友人と授業をさぼるのも良し、根詰めて制作するも良し。私も1回目の受験では、補欠合格でしかも補欠番号の最後の番号という事件が起こりました。入学後も講評で教授を悩ませるような作品もつくったりしました。それらの経験は、今では思い出となり、経験してよかったなと感じています。自分が楽しめることを最大限に楽しんで、後悔のないような日々を過ごしてください。