2017年度卒業
ー 卒業制作の作品紹介をお願いします。
遠くからだと見えない微生物も近くだと見えてくる、顕微鏡で覗いた微生物の美しさを作品に落とし込みました。離れて見ると白い塊ですが、近くでよく見てみると、注射針の先から泥漿を絞り出して描いていく“いっちん“と、道具を土に押し当てて描いていく“彫り“という技法で刻まれた模様が表面をびっしり埋め尽くしています。凸と凹の技法を組み合わせることで、美しくも少しゾワっとするような複雑で多様な表情を目指しました。
ー 卒業制作に関することで、印象に強く残っていることはありますか。
人によって卒業制作への取り組み方は様々です。陶磁専攻でいうと、卒業制作より前の時期から一つに決めて長い期間でじっくり成熟させていき試行錯誤の回数を重ねることでレベルを高めたり、課題ごとに色々な方向性や技法を片っ端から試していきどんなことが自分にとって好きなことでワクワクすることなのかを考え続けたり。私は後者のタイプだったのですが、卒業制作は作品としてしっかりクオリティのある形にしなくてはいけなかったので技術の面で大変苦労しました。
最初の頃は制作中、不安や焦りが大きかったです。ですが、作品作りを続けていくと気づくことがありました。自分では前にやった数々の課題制作と繋がっていない作品づくりをしていると思って始めたのに、よく考えてみるとここの技法はあの課題での経験が役立っていて、この発想や考えはあの時の課題に取り組んだから生まれたものだと。全ての課題にバラバラに取り組んでるのではなく、全ては繋がっていて自分ならではの到達点にいくことができていると実感してからは制作がどんどん楽しいものになっていきました。最終的には自分でも満足するものが出来て、卒業制作への取り組みでこれから進んでいくであろう自分の道がグンと前方に延びていったように感じます。
ー 卒業制作に取り組む上でのポイントや、意識など後輩にむけてメッセージをいただけますか。
卒業制作というと重く捉えがちですが、大学を卒業した後の人生の方が長いですから悩みすぎずにその時思いついたことに素直に向き合えば、よい卒制になるのではないでしょうか。頭で考えすぎずに手を動かしながら考えていくと作業や思考のスピードが上がると思います。あとは睡眠がとても大事です。たっぷり寝ろとは言いませんが、睡眠が不足すると作業中眠くなって効率が落ちたり体調を崩します。体調を崩しまくった私の大きな反省点です。息抜きは美味しいご飯を食べてました。ちょっといいテイクアウトをしてくるのも励みになりそうです。
ー どうもありがとうございました。
2017年度卒業
成田真由香