高須賀活良

TAKASUGA Katsura

非常勤講師

1986年東京に生まれる。

東京造形大学でテキスタイルデザインを学ぶ。

在学時は日本各地を旅し、その土地土地ににある素材にインスピレーションを受け作品を制作。大学院では、モノづくりの始まりは「土」からであるというコンセプトのもと、原始布の研究をし、2011年 修士号を取得。現在はアーティストとして国内外で作品の発表の他、織物産地でのテキスタイルデザイン、ファクトリーブランドの立ち上げ、アートディレクターとして幅広い分野で活動中。

2016年からは山梨県富士吉田・西桂の織物産地プロジェクト「ハタオリマチのハタ印」総合ディレクターに任命。

 

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サイバイマン SAIBAIMAN

2009年

素材:野の草

技法:織る、叩く、広げる、結ぶ、腐らせる、溶かす、煮る、縫う

私にとっての作品は素材との対話の中で生まれる物であり、その作品は素材のそれ以上でもなく、それ以下でもない。

素材とは自然から頂く命そのものである。そして素材を知るという事は、長い間続けてきている人と自然との関わりを知るという事であり、現代を生きる人々と自然との在り方を見つめ直すきっかけとなる。

 

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SILK PAPER

2010年

素材:おがらみちょし(絹糸工場から出るゴミ)

技法:オリジナルテクニック

絹糸工場から出る絹のゴミに熱をかけることにより、もともと絹の素材に含まれているセリシンという物質を溶かし、繊維をシート状に繋げていった。それは絹という素材が、かつて生命であった時の記憶を一つ一つ手作業により呼び起こすような作業である。虫のはきだした透き通った糸は、重なり合い、光と影を生み出し、大きな流れを作り出す。

 

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SOULS 2

SOULS

2011年

素材:シルク

技法:圧縮

”シルク”という素材は誰もが美しいと思ってしまう力を持っており、太古の昔から人々を魅了してきた。”シルク”という素材がはじめて世界に出回った時、中国からシルクロードを伝わり運ばれた魅惑の素材”シルク”の製法や原料は知られる事は無く、長い間中国でしか作れない謎の素材として世界に出回っていた。世界はその時、この美しい光沢を放つシルクという素材が虫から作られているという事を知る由もなかったのである。

この素材の正体は余りにも生々しいイモ虫。すなわち「蚕」なのだ。どんなに綺麗な糸にし、染め、織り、服を作ってもシルクという素材はまぎれもなく虫であり、その糸は虫の命から紡ぎだす命の糸なのである。

「SOULS」は命の素材”シルク”を固めたものである。

蚕一匹からとれる糸は0.5g。今回展示しているシルクを使って作ったキューブの一つの重さは約1kgあり、それは約2000匹の蚕の命から作られたものである。

 

WEAVING DIARY 580px

織日記 WEAVING DIARY

2015年

素材:身の回りにあるもの

技法:平織

モノに宿る情報は膨大である。色、匂い、触感、ありとあらゆるモノに含まれる情報は私の記憶を呼び起こす鍵となる。遊牧民の織技法を研究し、自作した織機を毎日持ち歩き、人と関わり、土の匂いをかぎながら織り上げた54日分の布は僕の記憶そのもである。そして、言葉では記し残すことのできない感覚すらも呼び起こす記録媒体でもある。

 

NAMING 580px

命名 NAMING

2011年

素材:蚕蛾

技法:オリジナルテクニック

シルクという素材を命として扱うために、繭の中に入っていた蚕蛾一匹一匹に名前をつけていった。

 

RIBRTH 580px

REBIRTH

2015年

素材:草木、綿、毛、絹、麻

技法:草木染め、二重織、フェルト

自分の生活の中で身の周りに落ちていた木の枝や実、道路に生えている草などを集め、お湯で煮だし、その液を私たちの着ている衣服と同じ素材(綿、麻、毛、絹)にしみ込ませてみた。するとそこからは、驚くような綺麗な色が生まれた。それぞれの色には個性があり、まるで肉眼では感知する事のできなかった植物の命が生まれ変わったような気がした。

 

私たち人類は”色”を身につける事で自分を飾ったり、社会的な位置を表す為に”色”を扱っているが、もともと”色”が”色”として認知される前は、私たち人類にとって”色”の存在はもっと違った意味合いがあったのではないだろうかと思う。

それは、今の私たちが知る”色”(色名で分類された色の世界)のような、目に見えたままの世界だけでなく、もっと神秘的な存在、すなわち植物が持つ命そのもののチカラであったのだろう。そして、その”色”を身につけるということは、神秘的なチカラをまとう事であり、人々の祈りでもあり、身につけるサプリメントであったのではないだろうか。

 

MEMORY 580px

記録 MEMORY

2015年

素材:紋紙(ジャカード織物の紙製のデータ)

技法:圧縮

人は記憶から溢れた情報を記号化し、モノに記録することで、人の脳機能を遥かに超えた、多大な情報を持つことができる様になった。過去に記録された情報は人類の進歩そのものであり、人類が脈々と繋げている知識の鎖である。 この作品で使用している素材は、今もなお、織物産業で使われている紋紙(情報を穴で記録した紙)である。それはただのセルロース繊維を固めたモノでしかない。しかし、このモノに刻み込まれた情報はモノの重さを遥かに超える。